退職代行 Q & A

「やめる」というまでに知っておくといいこと

Q1: 会社を辞めることについてのルールはどうなっているの?

筆者<br>
筆者

期間の定めのない雇用契約を締結している正社員の場合、やめたいと考えている日の2週間前までに会社に申し出ることが必要だよ。

会社と従業員の間の雇用契約を終了させる方法として、以下の3つが挙げられます。

このうち、1と2の場合、従業員から会社を辞めたいと伝えなければ退職に向けた手続き・交渉は始まりません。3の場合にも、期間終了後に事実上雇用関係が継続すれば、同一の雇用条件で雇用を継続したことが推定され、雇用関係は引き続き存続します。

Q2: LINEで会社ってやめられるの?

筆者<br>
筆者

会社をやめる気持ち(意思)を正確に伝えられたらいいから、LINEでも可能だよ。

会社をやめる意思を伝える方法は、法律上、「書面で行うことが必要」などと定められているわけではありません。そのため従業員は、会社をやめる気持ち(意思)を会社に正確に伝えることができれば、どのような手段であっても退職の連絡は可能です。

Q3: 退職願と退職届ってどう違うの?

筆者<br>
筆者

退職願は「退職を行う気持ちがあります」と会社にお伺いを立てる書類で、

退職届は、「確実な退職の気持ち」を会社に伝える書類だね。

退職願は、言ってしまえば従業員から「退職を行いたいのですが、会社として私の退職に合意していただけますか?」とお伺いを立てる書類です。

一方、退職届は、法律の定めに従ったもので、従業員からの一方的な通知によって、会社との労働契約の解約を求める書類です。そのため、会社の合意がなくても、法律上、定められた期間が過ぎれば自動的に退職となります。

Q4: 退職理由は会社に伝えなければいけないの?

筆者
筆者

退職理由を伝える必要はないよ。

会社に退職理由を伝える必要はありません。退職願や退職届には「一身上の都合」と書いておけばOK。

ただし、会社から退職理由を問われた場合、会社の不満などを伝えてしまうと、「どれを改善するから退職しないでほしい」と引き止められる可能性があるので、個人的な事情によると伝えるのが無難です。

Q5: 退職するけど、会社に迷惑をかけたくない。どうすればいい?

筆者
筆者

そもそも「退職」そのものが、会社に迷惑をかけることだから割り切ろう。

まず大前提として、どんなに丁寧に引継ぎを行ったとしても、会社に迷惑は掛かります。

退職に伴い、会社に迷惑が掛かったとしても、就業規則や慣例、法則に則り、きちんと手順に従って退職手続きを行えば、従業員の側に責任は生じません。

なお、退職時期については柔軟に協議しながら決めることが重要です。

Q6: 就業規則に「3か月前までに申し出」と書いてあったら、3か月後まで待たないといけない?

筆者
筆者

そんなことはないよ。

原則として申し出から最短2週間でやめることができるよ。

正社員の場合、原則として申し出から最短で2週間で辞めることができます。なお、有期雇用契約社員(契約により期間を定めて雇用されているもの)の場合は異なるので注意が必要です。

就業規則に「3か月前」と書かれているのに、最短で2週間でやめることができる理由ですが、「3か月前」とする就業規則が法律に抵触するものとして原則無効と考えられているからです。就業規則よりも法律の方が優先されるため、法律に定められていることよりも従業員に厳しい定めは効力を有しないのです。

雇用期間を定められていない場合、「2週間以上の予告期間を置くことでいつでも退職することができる」とされています。つまり、2週間以上先の日を退職費に指定して退職の意思を伝えれば、その退職費をもって雇用契約は終了します。

有期雇用の場合、「雇用期間が1年を超えるか否か」「雇用期間jんお自動更新があったか否か」によって適用されるルールが変わってきます。

従業員は、就業規則に優先する法律上のルールによって退職することができます。したがって、退職を考える際には、就業規則の確認と合わせて、ご自身の雇用形態・雇用条件を再確認することが重要です。

Q7: 明日から出社したくないんだけど、即日やめることはできるの?

筆者
筆者

会社が同意してくれれば、即日やめることができるよ。

会社が同意してくれれば、即日やめることができますが、会社が同意してくれないならできません。 正社員の場合、退職を申し出てから2週間後です。

会社が認めてくれないけれど、翌日から出社したくない場合、退職日までの2週間、有休休暇を取れないか検討しましょう。(ただし、突然出社しなくなった場合、引継ぎなどの問題が生じ、会社から損害賠償請求される可能性があるのでご注意ください。)

Q8:年俸制の社員や契約社員でも退職の申し出から2週間でやめれるの?

筆者
筆者

原則として2週間前の予告により退職できるよ。

2020年4月からは年俸制や完全月給制でも2週間前の申し出により退職できます。また、有期雇用が定められている場合は、その長短によってルールが異なります。

まず、1年を超える期間を雇用期間としている(一定の事業の買完了に必要な期間を定めるものを除く)ときには、働き始めて1年を経過した後は、いつでも退職できるとされています。(労働基準法137法)

また、雇用期間が1年以内で定められていても、雇用期間が自動更新された場合は、いつでも退職できるとされています。(民法629条)

そして、1年以下の期間を雇用期間都市、かつ、自動更新もされていない場合は、「やむを得ない事由」があるときに限り、直ちに退職できるとされています。(民法628条)

Q9: 「退職は認めない」と言われたときはどうすればいい?

筆者
筆者

退職願を出して「認めない」と言われたら、退職を認めてもらえるまで会社と交渉を続けるか、合意退職を諦めて辞職の方法をとるしかないよ。

退職届を出して、「認めない」と言われたときは、予告期間の経過(正社員の場合は2週間)で雇用契約は終了になるよ。

簡単に言ってしまうと、退職願は合意退職のお伺い、退職届は辞職(一方的な解約)の通知です。

・「退職願」に対して「認めない」と言われた場合

退職願はあくまで会社との合意によって雇用期間を終了させようとするものですので、会社が承諾しなければ合意は成立せず、雇用期間も終了しません。したがって、会社が退職を認めてくれないときは、退職を認めてもらえるまで会社と交渉を継続するか、合意退職を諦めて辞職の方法をとるしかありません

「退職届」に対して「認めない」と言われた場合

退職届は辞職の通知です。辞職は従業員の一方的な意思表示のみで雇用関係の終了という効果が発生するため、会社の承諾という概念が入る余地がありません。つまり、会社が退職を「認める」「認めない」ちいうステップがそもそも存在しません。

そのため、退職届に対して「退職を認めない」と言われたとしても、法的には何の意味もありません。退職届を提出すれば、会社が何と言おうとも、予告期間(正社員の場合は原則2週間)の経過により雇用期間は終了となります。

・就業規則に「退職するには会社の許可が必要」との定めがある場合

会社によっては就業規則に、会社の許可や承認がない限り退職できないと定められていることがあります。しかし、この規定が有効だとすると、従業員の退職の自由を制約する結果となります。したがって、このような規定は、民法に違反するものとして無効と考えられています。

そのため、たとえ「退職には許可が必要」との規定があったとしても、退職届の提出により退職できるという結論は変わりません。

Q10:退職届を出したら上司に突き返されたんだけど、どうすればいい?

筆者
筆者

法律上、会社は従業員からの退職の意思表示を拒否できないよ。

法律上、会社は従業員から退職の意思表示を拒否することはできません。そのため、会社がどのような理由をつけてきても、提出された退職届を拒否することはできません。

ただし、会社が退職届の受け取りを事実上拒否し続けるような場合には、内容証明郵便などの方法をとって、証拠が残る形で、退職の意思表示を明確にしておくことが有効です。

Q11: 「引き継ぎが終わっていないから」「後任が決まるまで」などと退職日を引き延ばされた

筆者
筆者

法律上、従業員には退職の自由があるから、引き継ぎが終わっていないことや後任が決まっていないことを理由として、従業員の退職を拒むことはできないよ。

法律上、従業員には退職の自由があります。そのため、会社は引継ぎが終わっていないことや後任が決まっていないことを理由として、従業員の退職を拒むことはできません。もっとも、後に会社と余計なトラブルになることを避けるためには、最低限の引き継ぎは行っておくことをお勧めします。

一般的に、従業員には退職するにあたって、引き継ぎを行う信義則上の義務があるとされています。また、多くの会社では、就業規則において退職時の引き継ぎに関する規定が設けられています。そのため、全く引継ぎを行わずに退職すると、引き継ぎ義務違反を理由として、後に会社とトラブルになる可能性があります。

しかし、引き継ぎが終わっていないことや後任が決まっていないことを理由として会社が退職を拒んでいる場合には、通常通りのやり方で引き継ぎを行うことは難しいと思います。また、退職届を提出したら退職まで有給休暇を所得して、そもそも出社するつもりがないということもあるかもしれません。

その場合には、最低限、引き継ぎメモを作成し、退職届と一緒に提出するという方法があります。

・引き継ぎメモに記載すべき事項

  1. 担当している案件に関する、先方とのやり取りの状況など
  2. 担当している案件に関する、資料・データの所在
  3. 会社からの貸与品があれば、その所在
  4. 会社に残してきた私物があれば、その取扱い(所有権を放棄するなど)
  5. その他、自分にしかわからない事項や会社に伝えておくべき事項

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