年末年始――家族が一堂に会したり、帰省や旅行をする機会が増えるこの時期は、防災を見直す絶好のタイミングです。「今年も何とか過ごせたから大丈夫」と思って油断していませんか?しかし、災害に“慣れ”は禁物。むしろ、年の区切りを利用して、自宅と家族の備えを見直すことで、“いつもの安心”を“本当の安心”に変えるチャンスです。
私は防災を専門とし、かつ家族で災害経験を持つ者として、年末年始にこそ見直してほしい「防災チェックポイント」を厳選しました。この記事を読み終えたとき、あなたは「この冬・新年を無事に過ごすための備え」を手にしているはずです。そしてその備えは、家族の安心に直結します。さあ、一緒にチェックしてみましょう。
1.なぜ年末年始が “防災の見直しタイミング” なのか?
1‑1 家族が揃う機会――防災確認のチャンス
年末年始は、多くの家庭で家族が集まりやすいタイミングです。普段は忙しくてできないような「防災会議」「備蓄・チェックリストの共有」「非常袋の点検」などを、家族全員で話し合える貴重な機会になります。特にあなたのように、仕事で平日は時間が取りにくい場合、この時期を活かすのは理想的です。
1‑2 寒さ・冬の災害リスクの高まり
冬は暖房器具の使用増加による火災リスク、空気の乾燥による体調不良、暖房停止時の低体温リスクなど、季節特有の危険が増えます。特に年末は大掃除や帰省で外出が多く、帰宅後の不在・戸締り・火の元の確認を忘れがちです。これらを含めて“再確認”するには、年末年始が適しています。
1‑3 年の節目としての「見直し・整理」の効果
年末年始は「新年をきれいな状態で迎えたい」という心理が働きやすく、普段後回しにしがちな備蓄品の整理、防災用品の賞味期限・点検、住所・避難経路の確認などを実行しやすい時期です。防災を日常の延長ではなく、節目で見直すライフスタイルに取り入れるきっかけになります。
2.年末年始に必ず確認・準備したい防災7項目
以下は、「この年末年始に必ず見直したい」“防災準備チェックリスト 7選”です。
✅ ① 自宅の“火災・ガス・電気”リスクの点検
- 暖房器具、ストーブ、ヒーターなどを使用する機会が多い冬。特に火災リスクが高まります。使用前に器具や配線の状態を確認し、不要な電気器具はコンセントから抜くなどの対策を。
- ガス栓やブレーカーの位置を家族で共有。災害時にはすぐにガスや電気を遮断できるよう、家族で確認を。
- 家具の転倒防止、出入口の確保なども同時に見直し、夜間や留守時の安全性を高めましょう。
✅ ② 防災リュック/非常持出袋の点検と更新
- 避難用持ち出し袋の中身(食料・水・懐中電灯・防寒具など)を改めてチェック。特に、冬向けの 防寒アイテム(毛布、使い捨てカイロ、手袋など) は、季節に応じて追加を。
- 備蓄品(食料・水・乾電池など)の賞味期限や点検日をラベルに記入し、見える場所に貼る。ローリングストックの考え方で「使う→補充」を習慣化。
- 家族構成やライフスタイルに応じたカスタマイズを。このタイミングでリュックの重さを確認し、「持ち出せるか」をチェック。
冬の防災備蓄について知りたい方はこちら
✅ ③ 飲料水と食料の備蓄量・構成の再確認
- 災害発生後は水道・ガス・電気が停止する可能性もあるため、飲料水 3日〜1週間分、非常食(缶詰、レトルト、乾パン)などを揃えておくことが基本。
- 年末年始は帰省や買い物のついでに、少し多めに備蓄を補充するチャンス。家族の人数を再確認して、必要量を見直す機会に。
- 缶詰・レトルトなどはローリングストックとして“古いものから消費 → 補充”を意識。味なじみやすく、避難後もストレス少なく活用できる備えになります。
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✅ ④ 家族との「避難計画・連絡方法」の再確認
- 避難場所、集合場所、連絡方法、連絡手段(携帯、固定電話、非常時メールなど)を家族で再度確認。実家や帰省先も含めて。
- 災害発生時の役割分担(誰が子どもを守るか、誰が荷物を持つか、持ち出すものなど)を決め、メモや家族ノートに書き留めておく。
- 年末年始の帰省で家を空ける場合、戸締り・ガス・電気の元栓確認・火災警報器の作動チェックを必ず行うこと。外出や旅行が重なるこの時期は、忘れがちなので特に注意。
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✅ ⑤ 灯り・通信手段・情報取得手段の確保
- 停電に備えて、懐中電灯、防災ラジオ(または乾電池式ライト)、モバイルバッテリーなどを非常持出袋に入れておく。特に冬は日が短く、夜が長くなるため灯りの確保は重要。
- 災害情報が必要なときに備え、自治体ハザードマップの再確認、避難所・避難経路の再確認も同時に行う。何もない日常のうちに情報を確認しておくことで、パニックを防げます。
✅ ⑥ 暖房・防寒・住環境の安全確認
- 冬の災害では、寒さによる体調不良、暖房器具使用による火災リスク、防寒対策の不備などが懸念されます。この時期に、暖房器具の配線・設置場所の安全を確認。
- 防寒具、寝袋、毛布、使い捨てカイロなどを再チェックし、防災バッグや非常持出袋に入れておく。特に子どもや高齢者がいる家庭では重要です。
- また、換気や火災報知器の点検も同時に行い、「安心できる住環境」を改めて整えておきましょう。
✅ ⑦ 書類・貴重品・保険・連絡先の整理とバックアップ
- 通帳・保険証・身分証・家族の連絡先リスト・避難所マップ・防災マニュアルなどの紙媒体を防水・耐火ファイルにまとめ、すぐ持ち出せる場所に保管。
- デジタルデータ(スマホの写真、オンライン保険証のキャプチャ、連絡先リストなど)はクラウドまたはUSB などでバックアップ。災害で端末が使えなくなったときに備える。
- また、家族の全員に「保管場所と持ち出しルール」を共有。家を空けるとき、帰省・旅行のときにも安心です。
3.年末年始の防災見直し――具体的なスケジュールと進め方
ステップ 1:「大掃除 or 帰省準備」のついでに防災点検
年末の大掃除時に、家具の固定、不要電気器具の抜き取り、火災報知器のテスト、ガス・電気の元栓確認などを一緒に行う。
ついでに防災バッグの中身を確認し、古い食料・水の賞味期限や備蓄品をリストと照らし合わせてチェック。
ステップ 2:家族で防災ミーティング
年末年始の休みを使って、家族全員で「避難計画」「非常時の連絡手段」「持ち出すものリスト」「集合場所」「もしも帰省中だったら」の確認会を実施。子どもにもわかりやすく説明すると防災意識が高まりやすい。
ステップ 3:必要な物の補充・買い出し
飲料水、非常食、防寒具、防災グッズ、懐中電灯、電池、薬、紙媒体のバックアップなど、足りないものをリストアップして買い足す。年末年始はスーパーやホームセンターがセールを行うことも多く、備蓄コストを抑えやすい。
ステップ 4:情報の整理と共有
- 自治体のハザードマップ・避難所リストを印刷または保存
- スマホの連絡先、緊急連絡先の更新・整理
- 家族で共有する連絡方法と集合場所を確認・メモ保存
ステップ 5:年が明けたら「防災チェック日」を設定
1月初旬などを「防災チェック日」として、年に1回は見直す習慣を。このタイミングで備蓄のローリングストック、新たなリスク(例えば冬から春にかけての雪害・風水害)の確認も行うと良い。
4.よくある質問(FAQ)
Q. 年末年始に全部やらなきゃダメですか?
いいえ。大切なのは「無理なく続けられること」です。忙しい場合は、防災バッグの中身チェックだけ、家族ミーティングだけ、火災リスク点検だけ、といった「一部ずつ」の改善でも十分効果があります。大事なのは「見直すきっかけを作る」ことです。
Q. 古い備蓄品を捨てるのがもったいない気がします。どうすれば?
備蓄品はローリングストック方式――古いものから日常で使い、買い足す方式が基本です。特に年末年始は買い物の機会が増えるので、ストックの入れ替えにぴったりの時期です。古いものを無駄にせず、日常の備えとして活用しましょう。
Q. 賃貸マンションなので家具の固定が難しいです。どうすれば?
家具固定が難しい場合でも、転倒防止用ストラップや滑り止めシートを使うなど、被害を抑える方法はあります。また、家具の配置を見直すだけでもリスクを減らせるので、まずは安全な位置への移動や、重たいものを下段に置くなど工夫を。
5.まとめ:年末年始は防災意識を“アップデート”するチャンス
年に一度、時間がとりやすい年末年始。忙しさや慌ただしさの中だからこそ、「防災の準備」「家族の共有」「備蓄の点検」をまとめて行うことで、“備えの見える化”ができます。そして、それはただの「保険」ではなく、「家族の安心」「新年の安心」を手に入れる行動です。
この「年末年始の7つのステップ」は、あなたのように仕事と家庭、子育てを両立するビジネスマンにも無理なく取り組めるはずです。今年の締めくくりと来年の始まりに向けて、ぜひご家族で話し合ってみてください。
災害大国・日本で暮らす私たちにとって、防災は「特別」ではなく「日常の当たり前」。この習慣が、いざという時の命と暮らしを守る強い盾となります。
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